2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子搖動の論理‐圏論による記述:時空の起源からの考察
Project/Area Number |
20520002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中戸川 孝治 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20237316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽部 朝男 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (90180926)
新井 朝雄 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80134807)
田中 一 北海道大学, 名誉教授 (50000716)
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Keywords | ゲーデル宇宙 / 不完全性 / 圏論の応用 / 非標準論理 / 時空 / 宇宙物理 / 量子論の基礎 / 国際研究者交流(英国 Oxford) |
Research Abstract |
論理法則はどこまで経験科学から影響をうけるか、という問をたて、論理、圏論、量子論の基礎を時空の起源から考察することを目指す本研究は、平成22年度計画の実施により、当初の3柱、哲学、論理学、物理学、において、以下のような成果をえた。(1)哲学柱:宇宙方程式のゲーデル解は回転解である。宇宙の赤道の回転速度は北極の回転速度より早いので、宇宙背景放射に波長のずれが観測されるはずである。しかしWMAP等の観測データには、ゲーデル宇宙の回転を支持する波長の有意なずれ認められないことを明らかにした。この結果(羽部朝男「宇宙方程式とゲーデル解」)は、ゲーデル・モデルを観測データにより明快に否定するものであり、同時に、モデルと実在というフレーゲ以後の哲学の中心問題の一つにたいし、サイエンスに根ざした確実な結果を与えるものである。(2)論理柱:田中一、中戸川孝治及び長田博泰共著「T0906命題とゲーデルの不完全性定理」は宇宙の基礎的な論理と具体的な自然像の関係を提示した。深山洋平「圏論の基礎付けと相対主義」は、圏論を応用するにあたり、集合と圏の相互還元への反論を批判し、相対主義が堅持可能であることを示した。(3)物理柱:羽部(その他との共著)論文(2010)は、宇宙における星の形成過程を考察するものであり、新井の論文・著作は、量子理論において、ともに、物理柱での研究を推進している。なお、量子理論のトポス解釈の創始者C.Ishamの共同研究者A.Doerngの招聘講演は、ビデオ資料として保存できた。
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Research Products
(10 results)