2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520022
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡部 勉 Kumamoto University, 文学部, 教授 (50117339)
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Keywords | 不合理 / 価値 / 目的 / 合理性 / アリストテレス / グライス / アクラシア / 反自然主義 |
Research Abstract |
本研究は、意志の弱さ(アクラシア)という現象を含む人間の不合理性・愚かさ・弱さについて、感情と欲求、目的と価値、合理性と規範性という人間をめぐる基本的な問題との関連性を詳細に検討することを通して、広く社会学的光精神医学的、脳神経学的視点からも受け入れられるような、一般的・総合的な説明を与えることを目指すものである。 本年度は、昨年度に引き続き、合理性及び行為論・価値論に関するポール・グライスの反自然主義的、構成主義的な考え方について、グライス晩年の反デイヴィドソン的な行為論の視点に立って理解を深めるとともに、合理性と規範性に関する反自然主義的構成主義の考え方と、アリストテレス的な目的論を下敷きにする理性論の考え方の、関連性の詳細を明らかにすることを目指した。その成果の一端は、グライス晩年の講義録の拙訳「目的と幸福に関する考察(後編)」に示した。 また、目的と価値、合理性と規範性をめぐる近年の議論の整理を進めると同時に、合理性と規範性をめぐる問題が、現代社会において、具体的にどのような仕方で社会問題化しているかを明確にするために、企業によるメセナ活動の問題点を取り上げて論じた。 グライス晩年の行為論に関しては、研究代表者が主催して6年以上に渡って継続しているグライス研究会において、昨年度に引き続き、議論を積み重ねてきた。また、現代社会における合理性と規範性をめぐる問題に関しては、長崎大学の研究者グループと意見交換をする機会を得て、実りある議論を重ねることができた。更に、昨年9月及び本年2月には、グライス研究及び自然主義と反自然主義をめぐる議論に関する研究について、慶應大学の飯田隆教授を中心とする研究者グループと意見交換するとともに、今後の研究協力について話し合った。
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Research Products
(2 results)