2009 Fiscal Year Annual Research Report
生命の哲学の構築―古代ギリシアとV・v・ヴァイツゼッカーの哲学的生命論の再検討
Project/Area Number |
20520026
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
丸橋 裕 University of Hyogo, 看護学部, 教授 (10202334)
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Keywords | ヒポクラテス学派 / 擬アリストテレス『問題集』 / プラトン対話篇 / V. v.ヴァイツゼッカー / 医学的人間学 / ワーグナー / 生命論 / ニーチェ |
Research Abstract |
現代の生命科学や医療の現場が直面する多様な倫理的・政治的問題を「生命そのもの」の根源的なあり方が問われる場に立ち返って考え直すことを目的として以下の研究を進め、来年度の研究の準備を整えた。 (1) 擬アリストテレス『問題集』第1巻に収められた医学論文を厳密に分析する作業を通じてヒポクラテス学派とペリパトス派の哲学的生命論を再検討し、その影響関係を探った。その成果は「アリストテレス全集」(岩波書店)の一部として公刊される予定である。 (2) プラトン対話篇の分析を通じて、彼の生命論、医学思想が提起する倫理的・政治的問題を考察し、その現代的意義を再確認した。 (3) V. v.ヴァイツゼッカー研究会を主宰し、自伝的著作『自然と精神』ならびに『出会いと決断』の分析を行い、前者の翻訳出版の準備を進めた。 (4) ハイデルベルク大学哲学部古典文献学研究科に6ヶ月間在籍し、ヴァイツゼッカーの医学哲学に関心を持つ研究者たちと意見交換し、文献調査を進めた。ドイツにおいてもヴァイツゼッカーの思惟の哲学的意義を明らかにしようとする本研究課題のような仕事が求められていることがあらためて確認された。 (5) R.ワーグナーの生命論を明らかにすることを目的として、彼の悲劇論をメンデルスゾーンのそれと比較検討し、その成果の一部を講演のかたちで発表した。 (6) ニーチェの哲学的生命論とギリシア哲学との関係をあらたに問い直し始めた。その成果は公刊される予定。 (7) 古代の医学思想、V. v.ヴァイツゼッカーの医学的人間学、および医学史、生命倫理全般に関わる広範な文献を収集し、批判的に分析するとともに、生命の哲学の基本構図を探った。
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Research Products
(1 results)