2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520059
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 正崇 Keio University, 文学部, 教授 (10126279)
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Keywords | 民俗宗教 / 文化遺産 / 文化的景観 / 道の宗教性 / 修験道 / 巡礼 |
Research Abstract |
本研究は「道の宗教性」という観点から、「文化的景観」との関連を探ることによって民俗宗教の再構築を目指す試みである。「道の宗教性」を「巡礼」「祝祭」「交換」「記憶」「芸能」というテーマに沿って「道の儀礼」の実践から把握し、その事例を調査し、「文化的景観」の生成過程を分析する。 本年度、研究代表者は山形県遊佐町では、7月に鳥海山吹浦で登山道、10月に矢島で登山道と芸能調査、1月に吹浦で寺社調査を行い、福岡県篠栗町では、8月の盆行事を中心とした民俗調査と巡礼道の調査を行なった。あわせて熊野で山岳信仰に関わる文化的景観の調査と飯田市遠山郷で神楽の調査を行なった。また、海外との比較を行い、中国貴州省苗族と南インドでの無形の文化遺産の実態を検討した。道の宗教的な媒介性や道における儀礼の意味に、芸能をはじめとする無形遺産の研究を加えて、「文化的景観」について分析を行い、その成果を海外では台湾、国内では講座で発表し、論文として公表した(「11.研究発表」参照)。この他、7名の研究協力者が伊豆半島・能登半島・長崎半島・四国・沖縄で調査を行い、メンバーによる研究会で調査結果が報告された。具体的には、巡礼と町おこしの関係、高度成長期の祭り巡行の変容、観光客の意識、景観の創造に果たす環境観モデル、道の宗教性と地域社会の歴史性の関連、世界遺産との接合などが報告され、「道の宗教性」と「文化的景観」の関連を検討する議論が行われた。 次年度は、各メンバーが各々調査の深化に努めるとともに、研究全体の総括を行う。すなわち、各調査地における「道の宗教性」を比較検討し、それが景観とどのように関係しているかを探ることにより、「文化的景観」がどのように生成するかを明らかにし、民俗宗教研究に新たな道筋をつけることを目指す。
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Research Products
(12 results)