2008 Fiscal Year Annual Research Report
林羅山を中心とした江戸初期儒学者の日本古典文学研究についての考察
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20520171
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
川平 敏文 Prefectural University of Kumamoto, 文学部, 准教授 (60336972)
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Keywords | 林羅山 / 野槌 / 徒然草 / 和学 |
Research Abstract |
本研究は、江戸初期の儒学者・林羅山の徒然草注釈書『野槌』の精査を足がかりとしながら、羅山および当時の儒学者が、自国の古典文学についてどのような認識をもち、またそれをどのような手法で研究したかを明らかにし、さらには、彼らの仕事が当代および後世の古典文学研究に対し、実質的にどのような影響を及ぼしたかについて考察を展開するものである。本年度は、以下のような研究を実施した。 (1)『野槌』書誌データベースの作成 諸本間の異同を確認するために、本年度は、金沢市立玉川図書館への書誌調査を行い、稼堂文庫蔵の万治版『野槌』、および蒼龍館文庫蔵の初版本『野槌』を撮影した。また西尾市立岩瀬文庫にて、万治版『野槌』の寛文後印本(個人蔵)を調査した。 (2)『野槌』注釈語彙索引の作成 上記の作業と並行して、『野槌』注釈語彙索引の礎稿を作成した。『野槌』の注釈部分から、書名・人名を抽出して、それぞれを和漢のどちらかに分類した。語彙抽出作業には、江戸時代の文学についての専門的な知識を有する大学院生2人のアルバイトを雇用した。 (3)羅山の日本古典文学に関する言説についての調査 『羅山林先生外集』(宮内庁書陵部蔵)、『近代和歌続集』(島原図書館松平文庫蔵)、『羅山林先生文集』(国立公文書館)などの複写物を手に入れ、分析を始めた。 (4)名古屋大学国語国文学会春季大会での研究発表 平成20年7月20目に行われたシンポジウムにおいて、「江戸人と徒然草-<読み>のあり方をめぐって-」と題する研究発表を行い、羅山の徒然草注釈が後世の仮名草子などに影響を与えたことなどを述べた。
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Research Products
(2 results)