2009 Fiscal Year Annual Research Report
林羅山を中心とした江戸初期儒学者の日本古典文学研究についての考察
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20520171
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
川平 敏文 Prefectural University of Kumamoto, 文学部, 准教授 (60336972)
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Keywords | 林羅山 / 野槌 / 和学 / 徒然草 |
Research Abstract |
本研究は、江戸初期の儒学者・林羅山の徒然草注釈書『野槌』の精査を足がかりとしながら、羅山および当時の儒学者が、自国の古典文学についてどのような認識をもち、またそれをどのような手法で研究したかを明らかにし、さらには、彼らの仕事が当代および後世の古典文学研究に対し、実質的にどのような影響を及ぼしたかについて考察を展開するものである。具体的には、以下のような研究を実施した。 (1) 『野槌』書誌データベースの作成 国文学研究資料館高乗文庫所蔵・初版本『野槌』の書誌調査、およびデジタルカメラによる撮影を行い、書誌データベースを補強した。 (2) 野槌』注釈語彙索引の整理 昨年度に作成した『野槌』注釈語彙索引の素稿をもとに、本文(影印本)と照合して、文字を校正する作業を進めた。 (3) 羅山の和文資料の翻字 宮内庁書陵部所蔵『羅山林先生外集』の中から、「源氏問答」「儒仏問答」など、彼の和学観や和学に関する知識が窺われる和文資料を翻字した。その際、江戸時代についての専門的な知識を有する大学院生2人に礎稿を作成してもらった。 (4) 『野槌』に関する研究発表 昨年度5月に九州大学で行われた九州近世文学研究会、および8月に岩波書店で行われた十七世紀文学研究会において、羅山の徒然草注釈書『野槌』を中心としながら、江戸初期儒学者の和学が同時代および後世へどのような影響を与えたかについて口頭発表を行った。また、その成果を論文としてまとめ、平成22年5月末日に刊行予定の『文学』(岩波書店)に投稿した。現在校正中。
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Research Products
(1 results)