2010 Fiscal Year Annual Research Report
女性による日記・書簡文学と公的領域形成―比較文学的視点を交えて―
Project/Area Number |
20520173
|
Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
吉野 瑞恵 駿河台大学, 現代文化学部, 教授 (00224121)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 聡子 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 教授 (70224871)
松井 優子 駿河台大学, 現代文化学部, 教授 (70265445)
増田 久美子 駿河台大学, 現代文化学部, 准教授 (80337617)
|
Keywords | 日本文学 / 比較文学 / 日記文学 / 書簡文学 / 公的領域形成 |
Research Abstract |
本研究は、古代から近代にいたる日本の女性作家による日記・書簡文学の持つ「公的」な性格に注目し、女性が「書く」ことと、公的領域の形成・拡大との関わりを、英語圏文学研究で近年注目されているlife-writingという概念を援用しながら、英米その他の女性作家の日記・書簡文学との比較も交えて明らかにすることを目的にしている。 今年度は、研究協力者に資料収集を依頼し、近年用いられるようになったAutobiografictionという概念がlife-writingという概念をより特化したものであることを確認した。 また、8月に研究会を開催し、まずスウェーデン人女性作家のアメリカ見聞録を扱った発表が行われた。そこではアメリカの家庭の特質をみすえつつ、スウェーデン人女性全体の公的領域の拡大を期待するという、旧世界と新世界のトランスアトランティックな視点をも明らかにされた。次に二人の女性の英国のハイランド地方の旅行記に焦点を当てた発表が行われた。そこでは書簡集という形式が女性が書くことを容易にしていること、さらには家庭生活という私的な領域を書くことがどのように公的な領域につながっていくのかが明らかにされた。 また2月には韓国放送大学日本学科学術セミナーにおいて研究成果の報告を行い、「日記・書簡文学」というジャンルについて比較文学的な視点から意見交換を行った。
|