2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520176
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々木 孝浩 Keio University, 斯道文庫, 准教授 (20225874)
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Keywords | 和歌 / 歌論歌学 / 書誌学 / 伝本研究 / 古典籍 / 日本文学 |
Research Abstract |
4年計画の第2年目にあたる21年度では、20年度に研究分担者であった川上新一郎(斯道文庫教授)・伊倉史人(鶴見大学准教授)が連携研究者となり、また新たに小川剛生(慶應義塾大学准教授)と中川博夫(鶴見大学教授)や若手の研究者を連携研究者に迎えて、日本全国に散在する歌論書歌学書の伝本調査活動で助力を得た。 本年度の調査では特に、前年度に専門的な調査が殆どなされていない、大量の歌論書歌学書の伝本を所蔵していることが確認できた、内藤記念くすり博物館での書誌調査を集中的に行って、前年度分と合わせてほぼこれを終了することができた。また以前から重要な存在として認識していた秘伝書類の写本を購入し、斯道文庫の所蔵とすることもできた。 内藤記念くすり博物館蔵本の調査作業を通しても改めて確認できたのは、藤原定家の『詠歌大概』及び定家仮託書の『未来記』『雨中吟』の影響力の強さと、またそれらの注釈書の多様さである。これまで代表者の所属する斯道文庫では古今集注釈書の研究を集中的に行って来たが、それらの有り様を相対化し、かつそれらの母体である流派の消長を把握する上でも、従来ある程度注目されてきた『百人一首』や『自讃歌』の注釈に加えて、『詠歌大概』や『未来記』『雨中吟』の注釈書も本格的かつ総合的な研究が必要であることを、改めて認識することとなった。 これまでに斯道文庫で調査し、マイクロフィルムの収集を行ってきたものを基礎として、本研究開始から新たに調査を行った資料のデータを加えて、次年度以降に整理と分類研究並びにそれらの集中的な伝本調査を行う予定である。
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