2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520176
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々木 孝浩 慶應義塾大学, 斯道文庫, 教授 (20225874)
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Keywords | 和歌 / 歌論歌学 / 書誌学 / 伝本研究 / 古典籍 / 日本文学 |
Research Abstract |
4年計画の最終年にあたる23年度は、これまでに引き続き川上新一郎(斯道文庫教授)・伊倉史人(鶴見大学准教授)・小川剛生(慶應義塾大学准教授)・中川博夫(鶴見大学教授)や若手の研究者を連携研究者に迎えて、書誌データの整理的な研究活動等で助力を得た。 本研究では、全国に散在する大量の歌論書歌学書伝本の書誌学的な調査研究と、そのデータの蓄積と整理を精力的に行ってきたが、本年度は京都府総合資料館・豊橋美術博物館・津山市郷土博物館に所蔵される関連古典籍の調査を行うことができた。また、京都の古書緯に久曽神昇博士旧蔵の歌論歌学書類が少なからず存在していることが判明したので、急遽年度当初の出張計画を白紙に戻し、予算内で可能な限りの購入を行った。特に具体的な研究対象の一つとしている、藤原定家の『詠歌大概』及び定家仮託書の『未来記』『雨中吟』の注釈書については、複数の伝本を購入することができ、最終的な整理への環境が整ってきた。猶、本研究により購入した古典籍資料は代表者の所属する斯道文庫の蔵書として一般にも公開する予定である。 本年度の研究成果としては、本研究の計画立案に関わる問題である、『日本歌学大系』の本文の素性の問題について、『和歌庭訓』を具体例として検討することができ、やはり今後の研究においては『日本歌学大系』の本文利用には十分な注意が必要であり、これに代わるべき信頼度の高い本文の提供が課題であることが明らかになった。また研究に協力してもらっている慶應義塾大学大学院生舘野文昭君が、本研究の成果を活かして、中世文学会平成23年度春季大会において「南北朝期武家歌人京極高秀とその歌学-『或秘書之抄出』と『古今漢字抄』を中心に-」と題する研究発表を行った。
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