2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20520315
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
西上 勝 山形大学, 人文学部, 教授 (10189277)
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Keywords | 中国文学 |
Research Abstract |
平成23年度は、本研究の最終年度である。 本研究の自的は、中国で題跋と称される散文の一ジャンルがもつ文学的意義を究明することであった。題跋はどのような現実を盛り込むことが意図された表現様式なのか、既存の史伝や序記といった表現様式とどう使い分けられ、新たな文学的達成を実現することができたのか、こうした問題を具体的に明らかにすることを目指して研究を推進してきた。なかでもとりわけ注意をはらったのは、画家の営みについて、題跋ではどう意義づけようとしているのかということであった。平成23年度においては、宋人の手によって文学的な価値を勝ち得た表現様式が、中国の近代的な画家像や芸術観にいかに作用を及ぼしたのかを具体的に明らかにすることに、特に意をはらった。 このような観点に立ちながら、特に宋代以降の題跋における書画評論に焦点を絞り、「痴癖」と称される画家特有の資質が、どのように新たに評価されることになったのか、その系譜を中国の近代芸術観の源流と見なしうる明末清初の時代までを視野に収めながら、解明することを意図した。その結果、一定の見解を獲得することができた。
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Research Products
(1 results)