2010 Fiscal Year Annual Research Report
近世・近代の奥州海村をめぐる環境と文化に関する歴史学的研究
Project/Area Number |
20520568
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
高橋 美貴 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (90282970)
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Keywords | 海商 / 地域社会 / 権威支配 / 資源 / 流域 / 漂流 / 海山川 / 金融 |
Research Abstract |
本研究では、(1)近世から近代にかけて未整理のまま三陸沿岸に残されている歴史史料(岩手県大船渡市三陸町綾里の千田基久兵衛家に残された膨大な史料群)の保存・整理・データベース化による奥州海村研究の基盤整備と、(2)その共同研究を通して多面的な視角から奥州海村の環境と文化に関する歴史学的研究を進めてきた。(1)については、年一度三泊四日の合宿形式で、史料の保存・整理(史料整理用封筒への格納とナンバリング)とデジタルカメラによる撮影とを同時並行で進める「宮城方式」と呼ばれる方法論を用いて、史料所蔵先での作業を進めてきた(平成22年は8月20日~23日)。そのうえで持ち帰ったデジタルデータを共同研究者・研究協力者で共有し、史料の目録化作業を進めてきた。いっぽう(2)については、目録化と並行して、研究協力者と共同で分析を進め、その成果を平成22年5月に斎藤善之・高橋美貴編『近世南三陸の海村社会と海商』として清文堂出版から刊行した。 本科研の仕上げとして、平成23年3月13~14日に史料調査と会合を行い、本科研に基づく調査・分析を総括する予定であったが、3月11日の東日本大震災によって調査地が潰滅的な被害を受けたため、急きょ計画を中止した。このため、その段階の予算残額を繰り越しのうえ、調査受入先の状況を見極めつつ、研究協力者たちの協力を得て、これまで整理・保存を行ってきた史料群の確認と保護活動を実施した。具体的には、平成23年7月8日~平成23年7月10日に、これまで最大の調査拠点となってきた大船渡市三陸町砂子浜・千田基久兵衛家を尋ね、蔵および家屋に所蔵されている歴史資料を搬出・整理するなどの確認・保護作業を行った。
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Research Products
(1 results)