2010 Fiscal Year Annual Research Report
档案史料を用いた清代の食糧暴動と法制・裁判に関する研究
Project/Area Number |
20520621
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
堀地 明 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (70336949)
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Keywords | 清代乾隆10(1745)年 / 食糧暴動 / 山西省大同府天鎮県 / 刑科題本 / 供詞 |
Research Abstract |
本年度の研究課題は、1-清代食糧暴動を禁圧・処罰する専門的刑罰法規の究明及びその制定、2-清代刑事裁判における裁判手続きの究明、3-裁判を通じた食糧暴動参加者の社会的諸関係・心性の解明としたが、前々年度と前年度で研究課題1と3が一定程度解明できたことをふまえ、研究課題2を重点とした。 研究を効率的にすすめるために、乾隆10(1745)年山西省大同府天鎮県で発生した食糧暴動案の裁判文書(刑科題本)の個別分析をすすめた。研究では、刑科題本の文書構成と文書処理の具体的過程を明らかにし、奏摺や新聞史料と比較して、刑科題本の史料的有用性が極めて高いことを明らかにした。刑科題本の文書中にしめる量的割合として、末端行政区である県の審判における容疑者の自白調書(供詞)が最多であった。審判の過程では、国家は食糧暴動の首謀者を拘束した後に、容疑者から事情聴取を行うが、刑科題本中の記載様式から、自白させる方法は拷問を加えないものと、拷問を加えて聴取するものの二通りあること、審判の過程では物的証拠の検証が全く検討されず、専ら自白の内容に甚づいて事実認定がなされ、律例に基づいて量刑を確定することか明らかとなった。初級審での自白聴取と事認定・量刑が上級審と皇帝にも基本的に継承されてゆくことも解明できた。この研究成果は、「清代刑科題本と乾隆10(1745)年山西大同府天鎮県閙賑案」題して2011年度内の公表が決定している。
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Research Products
(2 results)