2008 Fiscal Year Annual Research Report
フランス第二帝制の万博政策と地域権力に関する基礎研究
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20520630
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 啓介 Tohoku University, 大学院・国際文化研究科, 准教授 (00305103)
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Keywords | ナポレオン3世 / パリ万博 / ボルドー |
Research Abstract |
本研究は, ボルドーの地域権力にとり重要な転換点をなすと考えられるフランス第二帝制期において, 帝制の統治理念が地域レベルでどのように作用し, またそれに対して地域社会の側からいかなる反作用がなされたのかを実証的に探る事例研究の一環である。そのために本研究は, 帝制の統治論理をよく反映する1855年および1867年に開催されたパリ万国博覧会の理念と組織化〔以下, 万博政策〕を対象とし, 19世紀をつうじすぐれて「ワインの街」という個性を強化したボルドー都市社会の意向を体現する地域権力に注目する。 この研究のためのいわば予備的作業として, 今年度は具体的に, 本研究の背景的理解を深めるため種々の研究書により帝制期の万博政策に関する調査を進め, (1)帝制側の指導理念や対地方スタンスについて包括的に整理, 理解するとともに, (2)地域権力構造の人的側面に関する分析するため, 手元にある資料によってできる範囲において, 商業会議所を中心とする商事裁判所, 県会, 市会の人的ネットワークが徐々に浮かびあがってきた。この作業では, とりわけ, デュフル=デュベルジェやジョンストンといった地元の一定の有力商人群が, ボルドー地域権力において中心的役割をはたしたと考えているところである。この作業による都市指導層の集団的特性の把握は, 今年度から16ヶ月間の予定で遂行されており, 当初の予定どおり平成21年7月に完了する予定であり, 現在執筆中の論文は次年度に公表する予定である。なおこの年度においては, 書籍と印刷資料の購入が主な出費項目となり, 一次史料については国内で収集可能な分を除いて、フランス本国での史資料収集に回す余裕がなくなってしまった。この補完は次年度に期したい。
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