2009 Fiscal Year Annual Research Report
労働のフリーエジェント化が促す地域中間労働市場形成に関する総合研究
Project/Area Number |
20520691
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
加藤 恵正 University of Hyogo, 経済学部, 教授 (80161131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 善臣 兵庫県立大学, 経営学部, 教授 (10094525)
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Keywords | フリーエジェント / 地域中間労働市場 / 地域再生 / ハイテク・クラスター / 地域産業 / 外部労働市場 / 都市雇用就業戦略 / フル就業 |
Research Abstract |
平成22年度における本研究の目的は、労働のフリーエージェント化が地域の雇用構造に及ぼす影響を明らかにすることにある・人口減少・高齢化社会への急進は不可避であり、フリーエージェント化はかかる変化への雇用・就業面からの対応という側面を有している。実際には、社会的企業による新たなビジネスモデル構築のための基礎的調査を実施した。これまで行政が担ってきた社会的領域のビジネス化は不可避である。地域に根ざした互酬・互恵的な活動を生きがいや地域づくりといった観点から新たなビジネスモデルを最終的には構築することが狙いである。さらに、こうした地域雇用の転換が、地域の雇用・就業構造に実際にどのような影響を与え、また新たな雇用の確保の可能性についても検討した。本調査では,こうした新たな労働市場のあり方を「地域中間労働市場」と位置づけ,現下の状況や展開方向について明らかにすることを試みた。 本年度における中間的成果は、以下のようである。フリーエジュエント化が進む労働市場を効率的かつ柔軟に機能させるためには、他の財・サービス暢とは異なる政策が必要である。それは、ひとつには「働く」ことへのモチベーションを高め、需要側の要請に応じるなど、労働市場の効率化を目指す「積極的労働市場政策」にある。積極的労働市場政策は、具体的には需給ミスマッチ解消による雇用拡大、失業者への所得保障、景気政策との連動などがその特微である。第二に、労働市場からの非自発的離脱にたいしてセイフティネットを整備しておくことにある。ただ、こらしたセイフティネットの整備は、一方において、働く意欲を低下させるというモラルハザードを顕在化させる可能性もある。加速する労働市場の流動化と雇用保護のあり方について、先行する海外諸国での多様な経験を踏まえ制度設計を行う必要があろう。
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