2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530017
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
下井 康史 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (80261262)
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Keywords | 公務員制度 / フランス / 公務員制度改革 / 勤務評定 / 行政改革 / 人事評価 / 行政手続 / 労働基本権 |
Research Abstract |
2008(平成20)年度は、同年6月に、国家公務員制度改革の基本方針を定めた国家公務員制度改革基本法が成立したことから、主として、日本公務員法の研究に重点をおいた。主たる論点は、人事評価の在り方と、労働基本権についてである。 まず、人事評価について、2007(平成19)年改正国家公務員法及び国家公務員制度改革基本法9条は、従来の勤務評定とは異なる新しい評価システムを取り入れた。本研究では、かかる方向性が求められる理由が、公務員制度の基本原則である成績主義に求められることを理論的に検証した上で、成績主義がその本来の趣旨を全うするには、人事評価の濫用を防止するための制度的工夫が必要であり、行政手続法が用意する手続制度を、人事評価に応用すべきと考えるに至った。その成果の一部は、下井康史「人事評価システムにおける制度的工夫について(試論)」地方公務員月報平成20年8月号2-15頁で公表した。次に、労働基本権について、国家公務員制度改革基本法12条は、協約締結権の認められる職員の範囲を拡大する方向を示す。本研究では、公務員の勤務条件につき、法律で規律すべき事項と、労使自治に委ねられるべき事項とを、憲法上の原則から範囲画定すべきとの発想から、公務就任平等原則、成績主義及び身分保障が、公務員制度における憲法上の原則であり、かかる原則を実現するための諸制度として、競争試験による採用、昇進手続の整備、人事評価の基本原則、懲戒・分限制度の充実等が法律事項との結論を得た。以上については、「公務員の団体交渉権・協約締結権・・・制度設計における視点の模索」季刊労働法221号(2008年)88-105頁、及び、北海学園大学地方自治とNPM( New Public Manatement )に関する研究会での報告「国家公務員制度改革基本法について--人事評価と労働基本権の問題を中心に」において、研究の一端を公にしている。 フランスについては、2007年2月2日の法律が人事評価制度改革を方向付けている。そこで、同法を分析するなめの基礎作業として、その後の諸法令の状況とともに、同法の客観的把握を行った。
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