2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530017
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
下井 康史 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80261262)
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Keywords | 公務員制度 / フランス / 公務員制度改革 / 協約締結権 / 任官補職 / 国家公務員法改正 / 勤務条件法定主義 / 労働基本権 |
Research Abstract |
日本については、昨年度までに引き続き、公務員労働基本権制度改正について考察した。具体的には、2011年に予定されている国家公務員法改正に向け、昨年度までの研究により構築してきた私見-憲法による労働基本権の保障は重視すべきだが、公務員が全体の奉仕者である以上、その勤務条件は一定程度まで法律で定めなければならず(勤務条件法定主義)、公務員に関する憲法上の諸原則を具体化するための制度は法律で定めなければならない。具体的には、公務就任平等原則、成績主義及び身分保障といった各原則が法令規律事項であり、協約締結対象はあくまで法令規律外事項に限られるべきである-に照らし、国家公務員制度改革推進本部労使関係制度検討委員会が2009年12月に公表した報告書「自律的労使関係制度の措置に向けて」を分析した。その成果の一端は、島田陽一=下井康史「〈対談〉公務員制度改革と公務関係の法的性格-労働法学と行政法学の対話」季刊労働法230号85-110頁で公にした。関連して、非常勤職員の給与を規律するための法令のあり方や、地方公務員退職手当の違法性を争う住民訴訟の問題も検討した。前者の成果が「演習行政法」法学教室365号134-135頁であり、後者のそれが「演習行政法」法学教室361号122-123頁である。 フランスについては、この一年間、具体的な制度改革のうごきが特になかったため、昨年度までに引き続き、人事評価制度改革の方向付けをした2007年2月2日の法律の分析を継続するとともに、わが国の2011年国会に提出予定の国家公務員法改正案が幹部職員の人事弾力化を制度化しようとしているところ、かかる弾力化には、現在のわが国のようなランクインポスト方式ではなく、任官補職制度に基づくフランス風のランクインパーソン方式が適合的であるとの発想から、フランスにおける官吏の任官補職制度の歴史的研究を行った。
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