2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530029
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡田 正則 Waseda University, 法学学術院, 教授 (40203997)
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Keywords | 国家賠償法 / 国家無答責 / 公権力の行使 / 訴願法 / 行政裁判法 / 事実行為 / 行政不服審査法 / 行政事件訴訟法 |
Research Abstract |
本研究は、日本における行政救済制度(行政事件訴訟および国家賠償訴訟・損失補償訴訟)の形成過程の通史を比較法制史の視角からまとめること、を目的としている。2009年度は、(1)日本における経済行政の法制度および法理論の形成過程をたどること、(2)大正期以降の国家賠償法制と判例の推移を検討することを、「研究実施計画」として掲げた。 (1)については、1870年代から今日に至るまでの経済行政の法制度と法理論を、首藤重幸・岡田正則編『経済行政法の理論』掲載の論文「経済行政法理論の生成と展開」において検討した。また、救済制度史の側面からの分析は、論文「行政訴訟制度の形成・確立過程と司法官僚制:司法制度改革に関する歴史的視点からの一考察」および「平野事件:公職追放と行政訴訟法制の転轍」で行った。学会報告「日本における行政権・司法権の関係史と司法制度改革」および「日本植民地時代における行政法制」も、これに関連する研究成果の報告であった。以上により、日本における行政救済制度の形成史について、経済行政法および行政官僚制・司法官僚制の側面からの通史的な叙述を行うことができた。一方、論文「災害・リスク対策法制の現状と課題」および学会報告「福祉サービス供給の拡充と地方自治・地域社会」では、「公権力」の今日的な機能を検討したが、救済制度史との関連での考察は今後の課題である。 (2)については、国家賠償関係の約150件の大審院判例の分析を行い、データベースを一応は作成したが、まだ公表できる精度のものになっていない。判例集等を再度通覧することにより、2010年度にはこれを完成させ、解説を付して公表することとしたい。これは、日本の行政救済制度に関する基礎的な研究資料となるものであり、法制史分野の研究資料としても重要なものとなるであろう。
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Research Products
(7 results)