2010 Fiscal Year Annual Research Report
法規範としての国際法規範の存立基盤に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20530039
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳原 正治 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (60143731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 欽司 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (00288242)
深町 朋子 福岡国際大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (30310014)
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Keywords | 国際法規範 / 国際法の形成 / 国際法の適用 / 国際法の解釈 |
Research Abstract |
最終年度である本年度においては、本研究の主眼である、現行の国際法が抱えている根源的な難問について、(1)国内法規範との対比の上での国際法の法規範としての特色、および、(2)国際法の形成・適用・解釈のそれぞれの原理の解明、という二つの大きなテーマに分類して研究をとりまとめる作業を行った。この作業により、法規範としての国際法規範の存立基盤を明らかにできた。 具体的には、(1)国際法における戦争・武力行使の位置づけ、(2)国際法における「戦争に至らない武力行使」の位置づけ、(3)近代国際法の根源的な原則としての主権平等原則の意義、(4)国際法規範の合法性と正当性の乖離、(5)国際法規範にとっての衡平概念(とくにequity praeter legesやequity contra leges)の意義、(6)国際法主体性をめぐる議論の意義、(7)国際法の形成と適用と解釈の相互関係の解明、(8)個別分野(たとえば国家領域)における国際法の形成・適用・解釈のあり方、などといった個別のテーマについて、研究を進めた。この過程で、研究代表者は、昨年度に引き続き、レサッファー教授(オランダ・ティルブルク大学)や朴培根教授(韓国・釜山大学校)との間で、これらの諸問題についての意見交換を行うこともでき、研究の取りまとめに大きな示唆を得られた。 これらの個別テーマのなかでもとくに、国際法の適用の場としての国際裁判のあり方についての研究は、理想としての法のあり方と現実の国際社会のなかでの法のありかたを際だたせるものの一つである。常設国際司法裁判所の強制管轄権をめぐる、安達峰一郎の議論はその意味で、現在もなお大きな意義を持つものといえる。
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Research Products
(7 results)