2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 裕成 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90126102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 淳一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70190452)
畑 瑞穂 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00218471)
垣内 秀介 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 准教授 (10282534)
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Keywords | 民事法学 / 非訟事件 / 家事審判 / 家事調停 |
Research Abstract |
平成22年度においては、研究計画にしたがい、家事事件・非訟事件に関する日本の従来の判例・学説及び外国法の状況の調査・検討を継続するとともに、同年に公表された「非訟事件手続法及び家事審判法の見直しに関する中間試案」の内容をも意識しつつ、研究成果の取りまとめ・公表のための作業を行った。 その中で、研究成果として公表し得たものとしては、下記の点がある。 第一に、非訟事件における手続保障のあり方に関しては、事件の性質に応じた規律、とりわけ、相手方のある事件ないし紛争性のある事件について特別の規律を設ける可能性が検討に値するが、事件類型にかかわらず、自己の利害に重大な影響を受ける者については、手続保障に関する配慮を要すること、一定類型の事件について特則を設けるとしても、その前提として、「処分可能性」、「紛争性」と行った諸概念の意義および相互関係についての分析がなお必要であること、その上で、問題となる個々の規律ごとの検討が必要となることを明らかにするとともに、上記「中間試案」で示されているいくつかの個別的な規律について各論的な検討を試みた(後掲畑瑞穂「相手方がある非訟・家事審判事件における当事者対立構造と手続規律」)。 第二に、従来の実務において連続的な運用が一般的となっていた家事調停と家事審判の関係について、手続経済、事案解明、当事者の手続保障の各側面から検討を加え、連続的運用の利点を一定程度維持しつつ、当事者に対する最低限の手続保障を確保する規律として、調停手続において得られた資料を審判の資料として利用するためには、審判手続上の事実の調査を経るものとしつつ、当該資料について他の審判資料と同等の閲覧権等を保障するという規律が検討に値することを提言した(後掲垣内秀介「家事調停と家事審判との関係」)。
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