2008 Fiscal Year Annual Research Report
70年代の相互依存の推進と管理をめぐる日本外交-対中関与・金融秩序・総合安保-
Project/Area Number |
20530141
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
佐藤 晋 Nishogakusha University, 国際政治経済学部, 教授 (30385968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 慎太郎 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (80364107)
高橋 和宏 二松学舎大学, 国際政治経済学部, 非常勤講師 (70468726)
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Keywords | 政治学 / 日本史 / 経済史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1970年代の日本外交を規定した国際的相互依存の高まりを多角的に分析した上で、当時の日本外交上の重要事項を70年代のアジア太平洋地域におけるグローバル化の動きに照らして再検討することである。 そこで、初年度は代表者佐藤が、石油危機が日本においてまさに「ショック化」したこととグローバリゼーションの関連性の分析に着手し、その背景には国際金融混乱が存在したこと、およびその影響は穀物など一次産品に及んだことを解明した。次に、経済のグローバル化と石油ショックへの日本の対応が、当時密接な経済関係を築きつつあった東南アジア諸国に大きな影響を与えたことに着目し、1974年田中角栄の東南アジア歴訪を、グローバル化のもとでの新たな関係の構築のきっかけという視角で分析した。 次に、分担者池田は、沖縄返還問題を分析することから、米中接近、ヴェトナム戦争終結など1970年代以降の東アジア国際環境の変容が沖縄および日本全土の基地の地政学重要性を変化させたことに着目し、沖縄問題・基地問題に関する研究を遂行した。 また分担者高橋と佐藤はともに参加したワークショップにおいて、1980年代に「市場優先」の考えが世界的潮流となった背景には、1970年代前半の国際金融システム混乱があり、その調整メカニズムとしての意味を「市場原理」主義は持っていたとの視角を提示し、イギリス・キャラハン政権の意義の再評価といった海外の研究動向とも照らし、今後において1970年代のグローバル化によって生じた危機を分析する重要性を確認した。
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