2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530357
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
宮崎 正浩 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 教授 (00438780)
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Keywords | 生物多様性 / 社会的責任 / CSR / ノーネットロス / オフセット / 代償 / バンク / 経済的手法 |
Research Abstract |
世界的に生物多様性の急速な損失が懸念されているなか、生物多様性条約(CBD)においては民間企業がその社会的責任(CSR)として自主的に生物多様性保全に取り組むことが強く期待されているが、客観的な評価基準を設定することが困難である等の問題がある。 本年度は、生物多様性に関する世界的な政策動向を把握するため、名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議に参加した。また、生物多様性保全の経済的手法である生物多様性バンキングの日本での実現可能性を検討するため千葉県の里山を訪問調査した。 企業は自然の改変等により直接的に生物多様性へ影響を与えているだけでなく、モノやサービスの購入などサプライチェーンを通じて、特に開発途上国における生物多様性に影響を与えている。このため、企業はサプライチェーンにおいて生物多様性の保全への配慮が求められる。 本年度は企業のサプライチェーンにおける生物多様性保全への配慮の在り方を研究するため、まずは、生物資源としての漁業資源を対象にその持続可能性に関する情報収集のためにタイで開催された国連農業漁業機関(FAO)主催の「水産養殖世界会議」に参加した。 世界の売上高上位500社の取組を各社のサステイナビリティ報告書等を基に調査したところ、日本企業は生物多様性への保全を経営方針として採用し、その実施を計画的に行う点では欧米よりも進んでいるが、サプライヤーのCSRを考慮するCSR調達についてはかなり遅れていることが明らかとなった。しかし、多くの企業にとってサプライチェーンは複雑であり、サプライチェーンの持続可能性を高めることは容易なことではない。このため、サプライチェーンの持続可能性を改善するための研究を行うことが日本企業にとっては緊急の課題であることが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)