2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530435
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋爪 大三郎 Tokyo Institute of Technology, 大学院・社会理工学研究科価値システム専攻, 教授 (10218399)
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Keywords | 本居宣長 / ネイション / プレ近代 / 国学 / 言語ゲーム |
Research Abstract |
平成20年度の本研究は、基礎的部分、すなわち、1)本居宣長の主要著作の徹底した読解、2)本居宣長の研究書の系統的な調査・整理・分析、3)本居宣長の先行者、後継者の業績の整理概観、の三つの作業に集中した。 具体的には、まず研究書の整理・分析から入り、小林秀雄『本居宣長』と橋本治『小林秀雄の恵み』を対比するなかから、プレ近代思想家としての本居宣長と、近代批評家としての小林秀雄のズレを、橋本が問題としている点を取り出し、それを批評の二次ゲームからは届かない一次ゲーム(橋本の指摘による、歌を詠む本居宣長の「もののあはれ」の実質)と整理した。いっぽう、橋本が問題にしていない部分を、正統儒学のテキストに対する言語学的批判の問題として取り出し、それをスコラ神学に対する改革派の批判に対応するものと整理した。ここから、宗教改革と、新儒学・国学の並行関係が導かれた。 本居宣長の主要著作の研究は、なお継続中であり、平成21年度の早い段階で完了する予定である。本居宣長の先行者、後継者の業績の整理概観としては、平田篤胤の霊魂観に焦点を置いて研究を進めた。平田神道の霊魂観を、本居宣長の霊魂観との対比でとらえるとき、明治近代のプレ近代に対する位相が明らかとなると期侍できる。
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Research Products
(2 results)