2009 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国における移民労働者組織化と「社会運動ユニオニズム」に関する調査研究
Project/Area Number |
20530475
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山田 信行 Komazawa University, 文学部, 教授 (80287002)
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Keywords | 労働運動 / 移民労働者 / 社会運動 / アメリカ / グローバル化 / 世界システム / NGO / ネットワーク |
Research Abstract |
本年度についても、昨年と同様に大学の夏期休暇を利用して、3週間程度アメリカ合衆国に出張し、直接ローカル組合、労働者センター、および労働NGOのオーガナイザーおよび「リーダー」を対象にしてインタビューを行った。対象地域についても、昨年度同様に、サンフランシスコとその周辺地域に限定した。インタビューの内容は、対象となる組織に関わる基本情報(組織人員数や活動状況など)と移民労働者組織化の実態に関するものに加えて、この地域の労働NGOが展開するユニークな運動の試み(「フォーラム型」の労働運動)についてである。得られた知見は、以下のとおりである。 (1)ホテル労働者や清掃労働者(janitor)として働く移民労働者の「リーダー」は、家族を同じ職場に紹介して働き口を斡旋するなど、労働者のネットワークの結節点として機能しており、ローカル組合による組織化の中心的な担い手であることがあらためて確認された。 (2)オークランド港(サンフランシスコ湾の東岸に位置する)に物資を搬出入するトラック運転手として働く移民労働者を組織化しようとする試みは、労働NGOを媒介として広範な市民団体や環境団体とのネットワークを形成するとともに、ネットワークに関わる個々の組織や参加者の態度変容をももたらしており、労働運動の再生=社会運動ユニオニズムの形成にユニークな効果をあげていた。 (3)さらに、この活動において、宗教者の活動団体(interfaith community)がそうした態度変容に大きな役割を担っていることが明らかになった。
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