2011 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国における移民労働者組織化と「社会運動ユニオニズム」に関する調査研究
Project/Area Number |
20530475
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山田 信行 駒澤大学, 文学部, 教授 (80287002)
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Keywords | 労働運動 / 労使関係 / 移民 / アメリカ / 社会運動 / 世界システム / グローバル化 / ネットワーク |
Research Abstract |
今年度は、本研究の最終年度にあたるため、これまでの3年間に行ってきた調査のフォロー・アップに努めた。例年通り、夏期休暇中にアメリカ合衆国サンフランシスコおよびその周辺地区、およびサンディエゴ地区を訪問してインタビュー調査を実施した。得られた知見は、以下のとおりである。 (1)サンフランシスコにおけるチャイナタウンにおいて、レストランで働く華人移民労働者を組織する労働者センターは、調査活動を通じてレストラン産業における低賃金に代表される劣悪な労働条件を公衆に周知する活動を行っていた。調査活動によって得られた知見に基づいて、この労働者センターは、最低賃金すら遵守されていない状況を改善する制度形成のための運動を効率的に行っていた。この運動においては、レストランに関する実態調査それ自体が移民労働者を調査員として実施されており、そこには社会的ネットワークが動員されているとともに、労働者を「主体化」するためのユニークな教育観が反映されていた。加えて、この運動は研究者(知識人)との連携を通じて進められており、いわゆる「新しい社会運動」にもみられる特徴をもっていた。 (2)サンディエゴ地区におけるトランスナショナルな連携活動を実施している2つの労働NGOを調査した。1つは、米墨国境に設置されている塀(boarder fence)を迂回してやってくる不法移民(undocumented immigrants)を支援するNGOであり、もう1つは、メキシコの米墨国境地域に設置されている輸出加工区、(いわゆるマキラドーラMaquiladora)で働く労働者と連帯しようとするネットワーク組織である。どちらの組織も資源に乏しく、ボランティアによって運営されており、広範な活動を実施する力量をもっていなかった。総じて、サンディエゴ地区に関する限り、国境に隣接し移民の流入も多いにもかかわらず、トランスナショナルな志向は乏しいことが明らかとなった。
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