2008 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュの内発的発展-クミッラ県ダウドゥカンディ郡での実態調査
Project/Area Number |
20530489
|
Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 弥生 Kanto Gakuin University, 人間環境学部, 教授 (80289751)
|
Keywords | バングラデシュ / 内発的発展 / 社会開発 / 市民社会 / 現地NGO / クミッラ県 / ダウドゥカンディ郡 / BRAC |
Research Abstract |
2009年12月24日から2010年1月8日までバングラデシュに滞在し、クミッラ県ダウドゥカンディ郡での現地NGOによる活動と貧困女性の参加状況を明らかにした。具体的には、BRAC(Bangladesh Rural Advancement Committee)のヘッド・オフィス、ASA(Association for Social Advancement)のセントラル・オフィス(以上、ダカ)と各現地NGOのブランチ・オフィス(ダウドゥカンディ郡)で資料収集及び聞き取り調査を行った。また、両現地NGOの協力を得て、同郡P村のショミティ(貧困女性が組織化するグループ)での聞き取り調査、貧困女性の戸別訪問調査を行った。さらに、2002年以降調査を継続している同郡P村スラム全世帯の戸別訪問調査を行った。 2010年1月現在、ダウドゥカンディ郡では21の現地NGOとグラミン銀行が農村の貧困女性を草の根から組織化するショミティを媒介として活動している。同郡では、各農村で平均2~3のショミティがみられるが、P村スラムでは、BRAC、ASAを含む計5つの現地NGOがショミティを組織化している。というのも、この地域に居住する貧困層は,外国主導による道路拡張計画との関係から屋敷地を剥奪され、より困難な状況を余儀なくされてきたからである。この地域でショミティ活動に参加する貧困女性は、名前の読み書き、子どもの就学、融資活用方法等を学び、自らと家族のWell-beingを向上させている。また、戸別訪問調査を通して、貧困層が市民社会との連携により内発的に貧困や社会問題の解決に取り組んでいる過程が明らかになった。さらに、同郡で活動する現地NGOは、農村での社会開発を推進するうえで市民社会の連携がより重要になると認識している。そのため、これら現地NGOがグラミン銀行や政府役人を巻き込んで、貧困女性の具体的なショミティ参加状況、農村内の社会問題や貧困問題の解決等について、定期的(毎月)な話し合いを設定している。ここに我々は、市民社会の連携をみてとることが出来る。
|
Research Products
(1 results)