2009 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュの内発的発展-クミッラ県ダウドゥカンディ郡での実態調査
Project/Area Number |
20530489
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 弥生 Kanto Gakuin University, 人間環境学部, 教授 (80289751)
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Keywords | バングラデシュ / 内発的発展 / 社会開発 / 市民社会 / 援助 / 貧困 / 現地NGO / BRAC |
Research Abstract |
議会図書館、世界銀行情報センター(以上ワシントンD.C.)で、バングラデシュの市民社会や内発的発展、外国援助等に関する資料・文献収集を行った。議会図書館には、バングラデシュでは入手できない貴重な資料が保管されている。その一つは、1960年代の東パキスタン時代にクミッラ県で実施された米主導による「コミラモデル」=緑の革命に関連している。今回の資料収集により、米主導による具体的な研修内容がより明らかとなった。バングラデシュでは、1980年代に人口抑制を目的とする「家族計画」が推進されたが、それ以前の1960年代に「コミラモデル」の一貫として「家族計画」に関する研修が組み込まれ、その普及が意図されていた。人口抑制手術の対象とされてさたのは、貧困、悲識字の女性たちである。彼女たちは、その代償として僅かな現金とサリーを受け取っているが、それらが社会開発の推進に結びついているとは言えない状況がままみられる(11の論文参照)。こうした上からの援助に対して、市民社会は、貧困女性を草の根レベルから組織化して内発的な問題解決の糸口を模索している。バングラデシュの市民社会の発展をみると、BRACを始めとする現地NGOやグラミン銀行が重要な役割を担っている。これら市民社会は世界的にも注目を集めており、社会開発推進の手法が広く引用されている。 また、各国から関係者が参加し、貧困問題解決に向けての具体的な提案と活発な議論が行われる「アジア連帯経済フォーラム2009」(国連大学)、2009年11月7、8日)に参加した。貧困を始め地球規模での環境問題等の社会問題解決に向けて、市民社会側が提起した概念が「連帯経済」であり、政府や市場に対して透明性や責任説明、企業に対して社会的責任の実現を要求している。市民社会自身は、NGOやNPOによる活動、マイクロファイナンス、国際連帯税、環境保全運動等を通して、社会的に弱い立場におかれている人々のwell-being向上を目的とする活動を展開している。その中で、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスとグラミン銀行への関心の高さも伺えた。現在、今回収集した資料及びこれまでの現地調査を通して、バングラデシュでの市民社会の活動状況について執筆している。
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Research Products
(1 results)