2010 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュの内発的発展-クミッラ県ダウドゥカンディ郡での実態調査
Project/Area Number |
20530489
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 弥生 関東学院大学, 人間環境学部, 教授 (80289751)
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Keywords | バングラデシュ / 内発的発展 / 社会開発 / 市民社会 / 現地NGO / クミッラ県 / ダウドゥカンディ郡 / BRAC |
Research Abstract |
最終年度にあたる平成22年度は、これまでの研究成果のまとめとして「グラミン銀行による貧困女性の組織化とエンパワメント」(次頁参照)、「バングラデシュ農村の社会開発-BRACによる貧困女性の組織化」(『国際開発研究』2011年6月)を執筆した。 2010年1月現在、我々の研究対象地域であるダウドゥカンディ郡では、21の現地NGOとグラミン銀行が活動している。中でも、BRAC、ASA(以上、現地NGO)、グラミン銀行といった市民社会がより多くの貧困女性を対象とした活動を展開している。そこでの調査内容から、ASAとグラミン銀行の活動はマイクロファイナンスに特化していることが明らかになっている。これらに対してBRACは、貧困女性・家族のwell-being向上を目的として保健医療、人権・法的支援、マイクロファイナンス、識字・教育等を結ひつける総合的な手法をとっている。 また、同郡では平均して3つの市民社会が貧困女性を草の根から組織化するショミティを媒体として活動しているが、近年P村では、BRAC、ASA、グラミン銀行の他、2つの現地NGOが活動を開始した。というのも、当該地域では外国主導による援助との関係から貧富格差が拡大傾向にあり、より困難な状況を余儀なくされている貧困層が存在していることが明らかになってきたからである。とりわけ、道路拡張工事によって屋敷地を剥奪された貧困層はスラムを形成しているが、その地域では、ASA、BRACが貧困層のwell-being回上に尽力している。さらに、同郡で活動する現地NGOは、農村での社会開発を推進するうえで市民社会の連携がより重要になると認識している。そのため、これら現地NGOが政府やグラミン銀行を巻き込んで、貧困女性の参加状況、農村内の社会問題や貧困問題の解決等について定期的な話し台いを行っている。ここに我々は、市民社会の連携をみてとることができる。
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Research Products
(1 results)