2009 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの貧困の現代的態様と生成過程に関する研究-要保護児童施策と家族支援の課題
Project/Area Number |
20530541
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
湯澤 直美 Rikkyo University, コミュニティ福祉学部, 教授 (50308102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 伊智朗 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 教授 (20199863)
浅井 春夫 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (30231864)
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Keywords | 子どもの貧困 / 社会的養護 / 児童福祉 / 児童養護施設 |
Research Abstract |
2年目である平成21年度は、要保護児童の実態把握と政策立案に有効なモデル調査の開発を目指して、初年度に実施した文献レビュー、ヒアリング調査の成果をもとに、要保護児童の置かれている現実について「現代の貧困」との関連で実態把握を可能とするためのアンケート調査を実施した。 具体的には、全国のすべての児童養護施設に対し、2009年度に入所したすべての子どもについて、施設入所に至る家族資源の実相と貧困の態様,施設入所を必要とした背景に焦点をあて、調査票への回答を依頼した。なお、守秘義務と個人情報保護の観点から、倫理的配慮を徹底して実施している。調査設計としては、厚生労働省が実施している「養護児童等実態調査」を参照し、「養護問題発生理由」の項目について、構造的に捉える設問方法に改定した。厚労省の設問は、シングル・アンサーで回答するものであるが、これをマルチ・アンサーにするとともに、そのほかに考えうる発生理由について、経済状態・生活基盤・親の障害や疾病・子どもの特記事項などの諸点から把握した。また、施設職員の立場からの「調査設計についての意見」を把握した。シングル・アンサーとマルチ・アンサーを対比して双方で把握できるようにしたことから、その齟齬がどの程度あるのか、についても明らかとなった。 アンケート結果からは、養護施設入所児の社会階層を把握しうる指標を各施設において十分に持ち合わせていないこと、また、生活保護世帯であっても、その状態を「経済的困難」と認識しているかどうかには幅があることも確認された。結果として、社会的養護を必要とした家族的要因については、現在の厚労省の設問の設定では限界があることから、新たな把握方法を提示することに貢献しうる調査データを整備することができた。
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