2010 Fiscal Year Annual Research Report
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20530549
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
鈴木 勉 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (20162969)
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Keywords | 福祉の準市場化 / 新自由主義改革 / 介護保険制度 / 介護保険事業者 / 障害者自立支援法 / 応益負担原則 / 利用契約制度 / 非営利福祉組織 |
Research Abstract |
福祉領域における「構造改革」の展開は、介護保険制度の発足を嚆矢に、支援費制度を経て障害者自立支援法の施行、そして現在では「子ども・子育て新システム」の成立に向けた動きが進んでおり、一連の福祉「構造改革」は、福祉・保育の全領域に及ぼうとしている。それらは「措置から契約へ」、「応能負担から応益負担へ」、福祉事業の「非営利から営利原則へ」、参入事業者の「規制から規制緩和へ」の転換、など共通した側面をもっている。これらは新自由主義改革の諸特徴といえるが、このような福祉市場体制を構築するために、強力な国家介入が行われている点も併せて捉えておく必要があろう。つまり、この改革は福祉の完全自由市場化ではなく、国家統制の強化という側面ももっている。国は福祉サービスに公定価格を決めて価格競争を排除し、参入する事業者を指定する方式によってコントロールしている。また、国家統制はこれにとどまらず、要介護認定.障害程度区分認定、介護保険料の設定、応益負担金等の徴収などにみられるように、福祉市場に対する中央政府の財政統制が強力に働いている。 本年度は、(1)「国家管理の福祉市場化」とその下での福祉供給主体の再編に焦点をあて、介護保険制度を軸に医療改革、障害者福祉制度との関連もふまえ、政策論理とその展開を分析した。(2)東京・足立区の「足立区介護サービス事業者連絡協議会」に加入している介護保険事業者を対象に、昨年度実施したヒアリング調査をふまえて、全事業所にアンケート調査を実施し、結果を報告した。以上については、別添の研究報告書に成果を掲載している。(3)また、福祉供給主体に関する比較研究の対象として、韓国・ソウル市の「社会的企業育成法」の認可事業体に調査を実施した。
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