Research Abstract |
平成20年度は,ブログを介したコミュニケーションにおける相互不達性について検討を行った。基本的にVasile & Gosling(2004)の用いた手続きに基づき,以下の3種の評定を得た。(A)まず,オープン型ウェブ調査により,現在ウェブログを執筆・更新している者を対象に,"自分自身がどのような人物であるか"について自己評定を求めた(執筆者評定)。その後,自分のブログのURLを記入するよう求めモ承諾が得られた場合にのみ,その回答者が執笙しているプログのトップページ,プロフィールページ,7日分の記事内容をCD-Rに保存した。(B)執筆者と同数の調査協力者を募集し,同性の執筆者1名分のブログの閲覧を求めた。そしてブログ閲覧後に,"執筆者はどのような人物であると思ったか"について評定を求めた(閲覧者評定)。(C)回答に協力した執筆者から紹介された,現実生活での友人に対し,"普段の生活において,執筆者はどのような人物であるか"について評定を求めた(友人評定)。 各評定の平均値を比較した結果,(1)自己主張性,こだわりのなさ・執着心のなさでは,有意差は見られなかったが,(2)外向性,注目・賞賛欲求,優越感・有能感については,閲覧者の方が執筆者よりも高く評定していること,(3)それ以外の変数では,執筆者の方が閲覧者よりも高く評定していること,の3点が示された。したがって本研究の結果からは,閲覧者によって想像される人物像(閲覧者評定)は,執筆者が自覚する自己像(執筆者評定)や,日常の対人関係における人物像(友人評定)とは,基本的に大きく異なることが示された。また,執筆者の人物像は,実際よりもやや外向的・自己愛的な存在として閲覧者に想像されることも示唆された。
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