2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530568
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 素彦 Kyoto University, 人間・環境学研究科, 准教授 (60271706)
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Keywords | 環境開発 / 住民参加 / 科学コミュニケーション |
Research Abstract |
住民主体の環境コミュニケーション手法の開発を目的とする本研究においては、環境についての住民の言説と専門家の言説を網羅的に収集し、体系的に集約する方法が必要となる。平成20年度は、北海道雨竜郡幌加内町の朱鞠内湖集水域をフィールドに、流域環境の将来像策定をテーマとして、専門家を活用したシナリオワークショップ型の住民会議を実施した。協力を仰いだ専門家の専門領域は、生物地球化学、森林水文学、森林工学である。具体的には、会議のプロセスを通して、参加者住民の多様な言説を収集し、「10の将来像」として集約するとともに、そのプロセスにおける専門的言説の役割を検討した。さらに、参加者住民と専門家の双方を対象に、フォローアップインタビューを実施した。その結果、次のことが明らかになった。第1に、シナリオワークショップ型の住民会議は、専門的言説を活用しつつ、環境についての住民の言説を掘り起こし、かつ、集約するのに適した手法である。第2に、そのプロセスにおいて、専門的言説は、参加者が環境の将来を議論する際の共通の土俵づくりに特に貢献する。ただし第3に、専門的言説の貢献は、住民参加者の側の能動的な関心とあいまって成立する。今後の課題として、環境コミュニケーション手法の開発を進めるにあたって、専門家のスタンスや議論の自由度をどう設定するかが重要であることが示唆された。また、社会科学の専門的言説を取り入れることも重要である。
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Research Products
(1 results)