2008 Fiscal Year Annual Research Report
線維筋痛症患者の認知行動療法による心理教育実践プログラムの開発
Project/Area Number |
20530634
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
金 外淑 University of Hyogo, 看護学部, 教授 (90331371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 正人 日本大学, 医学部, 准教授 (40229969)
|
Keywords | 線維筋痛症 / FMS性格特性尺度 / 認知行動療法 / 認知的変数と痛み |
Research Abstract |
本研究の目的は「線維筋痛症(Fibromyalgia Syndrome;以下FMS)患者への認知行動療法による心理教育実践プログラムの開発」であるが、本年度はFMS患者への効果的な治療介入プログラムを開発するための研究の一端として、FMS患者の性格・特徴に対する情報収集を行い、FMSの症状の悪化を引き起こす一つの要因として考えられている患者の性格特性を把握し(調査1)、FMS患者性格特性に関する尺度の作成(調査2)することを目的とした。調査3では痛みに及ぼす抑うつ・不安症状、心理的ストレスにおける媒介変数などの認知的変数との関連を検討した。【対象と方法】N病院にて通院治療を行っているFMS患者62名(平均年齢51.50、罹病期間7年3ヶ月)、FMS以外の疾患で抑うつを示す患者29名(平均年齢51.14、罹病期間5年4ヶ月)20代以上の健常者合計160名(平均年齢36.26)に対し客観的・主観的評価を行い、各群の特徴の比較及び抑うつ・不安の評価を行った。【結果】調査1に得られた項目に基づき、因子分析の結果、4因子(I強迫的な思考(α=.76):5項目、II過剰な努力(α=.75):6項目、III完壁さへのこだわり(α=.69):3項目、IV怒りの抑制(α=.66):3項目)合計17項目が抽出された(調査2)。以上の結果から、過去の出来事に対する患者特有の痛みを引き起こす性格特性が明確することにより、調査3では、FMS群とFMS以外の疾患で抑うつを示す患者の行動パターンおよび認知的変数との関連を検討した。FMS患者の性格特性因子別平均得点を比較すると、両群ともに「強迫的な思考」「過剰な努力」の得点には特徴的な差はみられなかった。抑うつを示した患者群では「完壁さへのこだわり」また、両群ともに、不安や抑うつに随伴する心理的症状の得点が高い。FMS群では生理的随伴症状の得点がより高く、特に抑うつ・不安による心理的ストレス反応の得点が高い傾向がみられた。平成21年度はこれらの結果のデータをもとに、認知行動療法の基本的発想に基づいた心理治療モデルを提案し、介入プログラムを作成する。
|
Research Products
(3 results)