Research Abstract |
本研究は,今までと異なる角度からP300を観察し,ヒト脳における認知・判断過程に現れるP300に伴う脳活動の詳細な空間的位置をfMRIにより同定するとともに,同時に測定したEEGの時間的情報を加え,時間・空間の多角的測定・解析により複数の脳活動部位の連携を明らかにし,P300についての新しい知見を加えることを目的にしている。具体的には,P300に伴う脳活動を時間・空間の多角的測定・解析により各々の脳機能部位間の相互作用と連携にかかわる情報(時間的順序・支配関係)を動態的に解明し,複数の脳機能部位間の情報伝達を解析して脳における情報処理の流れを明らかにすることにより,P300などの同期現象がつくるグローバルな時・空間パターンが認知思考過程の計算論にどのように関わっているのかを明らかにする。 前年度の実験により,測定系の充実と性能向上を図ったにも関わらず,実状,P300こそ測定できたものの,その出現率がまた低い難問に直面していた。今年度はoddball課題の設計を工夫し・徹底的に見直しを行った。独自の刺激提示方法を模索し,結果的に測定精度と再現性の向上が実現し,実用的な測定手法を確立した。event(P300)の出現・持続時間を検出してfMRIのEvent-related解析にパラメータを引渡し,研究の次のステップとしてP300に伴う共通の脳活動を検索することによって,P300に関連する脳内活動またその動態の相違について検討する。また各々の脳機能部位間の相互作用と連携にかかわる情報(時間的順序・支配関係)を動態的に解明し,複数の脳機能部位間の情報伝達を解析して脳における情報処理の流れを明らかにすることに努めます。前年度から研究分担者の斎藤が転出するとともに,協力研究室の学生院生の人数が減り,今年度ではマンパワーの低下に直面する。実情に合わせ王が研究総括,実験モデルの設計とEEG/fMRIの測定・解析,また,過去の脳外科臨床経験から,神経生理学,脳・認知科学の知見の提供を担当する。画像および,EEGの信号処理・解析,また,fMRIとEEGの情報共用も王が引き継ぎ担当する。
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