2009 Fiscal Year Annual Research Report
市場化・分権化時代の就業支援政策の有意味性と公共性に関する教育・労働社会学的研究
Project/Area Number |
20530786
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
筒井 美紀 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (70388023)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 純理 京都女子大学, 現代社会学部, 非常勤講師 (10469067)
本田 由紀 東京大学, 大学院・教育研究科, 教授 (30334262)
|
Keywords | 地域就労支援事業 / 就職困難者 / 就労のための福祉 / 無料職業紹介 / 行政のアウトソーシング / 時限付交付金の正当性 / 求人票からの労働重要発生の文脈理解 |
Research Abstract |
今年度は、関西と関東に所在する自治体で、班に分かれて調査研究をしてきた。院生メンバー(研究協力者)が殆どいない関西地域での研究の方が比較的進捗し、論文産出にまで至った。具体的には、大阪府/府下市町村における就労支援政策についての知見が得られた。 1. 「ふるさと雇用再生特別交付金事業」は、どのような求人をどのようなプロセスで生み出しているのか。(1)本事業をブレイクダウンして個別事業の実施にこぎつけるまでのプロセスは、大阪府の場合、トップダウンの傾向が見られる。(2)「ふるさと雇用再生」で生み出されている少なからぬ求人が、行政のアウトソーシングの流れに位置つくものだ、と考えられる。政策的示唆として言えることは、(1)民間企業の雇用保険料が、時限的な交付金として、経常的で福祉的な業務に投入されていることは正当性を欠く。恒久化が無理なら、せめて5年の時限措置とすべき。短期的事業の受託によって露命をつないでいる状態では、経営基盤の安定化も人材育成も望めまい。(2)雇用創出のアイデア出し・グランドデザイン描きは、景気の良し悪しに関わらず、地味に続けられているべきボトムアップの営みであり、これを制度的に保障すべきである。 2. 大阪府内の市町村が2000年度以降に開始した「地域就労支援事業」は、2008年度途中から、府の行財政改革の一環として、従来給付されてきた市町村補助金が交付金に変更された。これはよかったのか。問題点は次の3点である。(1)地域就労支援事業は交付金制度にはなじまないものではないか、(2)仮に交付金化するにせよ、時期が早すぎるのではないか、(3)事業実施の是非やそのあり方に関する判断は市民に委ねられるべきだが、そのために必要な情報が十分には公開されていないのではないか。
|
Research Products
(2 results)