2010 Fiscal Year Annual Research Report
美術教育における単元の組織化と展開に関する多様性の研究
Project/Area Number |
20530805
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
山田 一美 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80210441)
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Keywords | 題材概念 / 美術科カリキュラム / 図画工作科カリキュラム / 単元構成法 / 指導計画 |
Research Abstract |
本研究は、初学者や初任者が図画工作・美術の授業づくりにおいて理解しにくい教育プログラムを取り上げ、その単元(題材・教育プログラム)の構成法の特徴を明らかにすることにある。このため、多様な構成法を便宜的に7群にまとめ分析し、授業づくりの理論的根拠を提示しようとした。 最終年度の平成22年度は、これまでの研究実績を踏まえ、資質・能力論に関する文献考察と種々の単元構成法の関係を整理し、成果を学会発表等によって公表し、成果と課題点の両面から本年度の研究を総括した。この総括過程を通して、単元構成における「題材」概念の解明と考察が不可欠であることを突き止めた。 つまり、文献研究の成果によると、第二次世界大戦までは、単元構成は「業・図」「教材」「題目」等が混在した。戦後、教材(経験)単元の導入後、「題材」主義に向かい、「題材」の意味や機能について、多くの課題点が議論された。やがて、「中学校美術指導資料」(文部省1982)によって「題材」概念が教育行政側から提示され、以後指導計画・授業づくりの中心概念となったと理解される。しかし、万博(1970)後、題材内容にイベント・祭典の要素が組み込まれ、「プロジェクト」「ワークショップ」等の授業展開とともに、「題材」概念が変容しつつある。それまでの臨画法や写生画法、構想画法という伝統的な単元構成は、課題・問題解決的な授業構成や対話型授業構成法が試みられるにつれ、「題材」概念が変容していること示している。 ゆえに、学校図画工作科・美術科の「題材」概念は、受容・成立・変容したと仮説立てられる。この題材概念に着目するという着想を得て、その成立過程の解明と課題点の整理を通し、美術教育における単元構成の特徴を史的・質的に把握すべきであるとする教科内容学上の研究課題の存在が明確となった。
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Research Products
(3 results)