2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳波・動作・音響解析の比較分析による音楽表現の評価観点の設定
Project/Area Number |
20530828
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田邉 隆 愛媛大学, 教育学部, 教授 (80155192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 洋一 愛媛大学, 教育学部, 講師 (90510892)
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Keywords | チャイム / 音響 / 動作 / 消音 / 流麗さ / 金属疲労 / 音楽表現 / 打鍵 |
Research Abstract |
チャイムの演奏(音楽表現)では、他の楽器以上に特異な動作が求められる。1点目は「消音動作」である。打鍵動作とともに消音動作を一連の動きとして奏でられる時に、熟達した動作として評価され、音響的にも好ましい音として認められる。熟達度の観点としてこの点がもっとも重要である。 2点目は、「打鍵の強さ」である。打鍵の際にmp-mf-f-ffの4段階の音量で奏すると、mpは主に第1倍音、mfは第1と第3倍音、fは第1・第2・第3倍音が成分として存在するため、強弱のみなちず書色の変化も認あられる。ただffの奏法では、打鍵後0.6秒で音量が減衰するため、演奏上の音量はfがffより大きい音量となる。すなわち音量に配慮する打鍵は、チャイム奏法における限界点を考慮する奏法を学ぶことであり、初心者における打鍵方法改善の観点として重要である。 チャイムのための教材(オリジナル曲)を作成し、模範演奏の動画を作成した。この教材の演奏には6人以上が必要である。しかし熟達すると2人による演奏も可能である標本として作成した。この標本で、音楽的な表現の流麗さは動作における流麗さと相関があることを動画教材として示した。すなわち音楽表現の学習において、演奏の動作(奏法)を指導することも有効であることを意味し、動作解析の結果で、音楽表現の流麗さの観点を評価できる可能性があることを示した。 打鍵楽器で避けられない「金属疲労による衰弱現象」については、音高の低下、持続音の短縮化、強弱変化の貧弱さ、不規則波形の出現等の傾向が、顕著に現れることが明らかとなった。この観点の音響分析により、楽器の疲労度を事前に予測することを可能にした。
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