2009 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児における不器用の神経基盤の解明:脳機能画像による疾患別の量的・質的検討
Project/Area Number |
20530894
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
柏木 充 Osaka Medical College, 医学部, 非常勤医師 (80434778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩木 直 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, 研究員 (70356525)
鈴木 周平 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10278525)
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Keywords | 不器用 / 簡易判定法 / 発達性協調運動障害 / 視知覚認知 / 頭頂葉 / 連合野 / 脳機能画像法 / 中心後回 |
Research Abstract |
発達障害児に見られる「不器用」の神経基盤の解明のために本年度は、自閉症児の脳機能画像研究(機能的核磁気共鳴画像法:fMRI)を進めると同時に、発達協調性運動障害児の研究の成果をまとめ、2本の論文にて発表した。 1.Parietal dysfunction in developmental coordination disorder : a functional MRI study (邦題)発達性協調運動障害における頭頂葉の機能低下:機能的MRI研究 方法:DCD12例とコントロール12例で水平に動くターゲットをカーソルで追跡する視知覚運動課題を行い、課題中における行動のデータと脳血流変化のfMRIデータを計測し2つのグループを比較検討した。 結果:ターゲットとカーソルの中心間距離の平均値で示される行動のデータでは、DCDが健常と比較して大きく、視覚運動課題のパフォーマンスが低いことが示され、かつ課題中のfMRIデータでは、DCDが健常と比較して左の後頭頂葉と左の中心後回の脳活動が低いことが示された。また、左の下頭頂小葉の脳活動と不器用さの関連性が示された。 考察:視覚運動課題におけるDCDの不器用さの一因として頭頂葉の機能低下が関与することが示唆された。 2.問診と微細神経学的徴候による不器用さの簡易判定法について(9歳以上13歳未満での検討)-発達性協調運動障害診断の指標として- 方法:発達障害児を含む43例を問診情報と微細神経学的徴候で構成した判定法で不器用さの有・疑・無に分類した結果と運動検査Movement Assessment Battery for Childrenの結果を比較検討した。 結果:有群15例中14例、疑群11例中6例が障害境界以上、無群では17例中14例は障害なしであった。 考察:判定法と運動検査の結果は概ね一致したことからも、簡易判定法は有用で、発達性協調運動障害を診断する指標となると考えた。
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