2010 Fiscal Year Annual Research Report
リアルオプションとナイト流不確実性の融合とその応用
Project/Area Number |
20539005
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
浅野 貴央 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (40423157)
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Keywords | 不確実性 / リアルオプション |
Research Abstract |
平成22年度ほ、研究計画に基づき、以下の点について研究活動を行った。 (1)ナイト流不確実性に関する応用研究 Nishimura and Ozaki (2007, Journal of Economic Theory)の理論研究に基づき、環境経済学、産業組織論の分野において、研究を行った。環境経済学に関する研究は、平成21年度、Environmental and Resource Economicsという国際的学術誌に掲載が決定したが、平成22年度、その論文が公刊された。この研究は、将来、何が起こるかわからないという不確実性(ナイト流不確実性)に直面したとき、政府は環境政策を早急に実施すべきか、先送りすべきかという問題に対して、前者の考え方(予防原則)が望ましいことをモデルを使って説明した論文である。産業組織論に関する応用研究については、独占的企業と政府の品質決定問題、価格決定問題を分析し、従来のリスクの枠組みとは異なる結果を導出した。この研究については、国際的学術誌に論文を投稿し、改定要求を経て、現在、再投稿・再審査中である。 (2)執筆論文の報告 平成22年度以前に執筆した論文について、論文の完成度を高め、より水準の高い国際的学術誌に投稿すべく、他大学が主催する研究会および学会において研究報告を行い、参加者と有意義な討論を行った。 (3)本研究の意義 本研究プロジェクトは、従来のリスクという概念では十分捉えきれなかった合理的意思決定者の行動を、リスクよりもより広い概念であるナイト流不確実性に拡張することによって解明しようとするプロジェクトである。1990年代から世界的に進展したリスクの枠組みにおけるリアルオプションの理論を、ナイト流不確実性の枠組みまで拡張したNishimura and Ozaki (2007, Journal of Economic Theory)に基づいて執筆した環境経済学の論文、産業組織論の論文は、Nishimura and Ozakiの研究の有用性を異なる枠組みで証明すると同時に、従来のリスクの枠組みにおける既存研究の再検討の必要性を明らかにしたという点で、意義のある成果であると言える。
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