2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540063
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
長瀬 正義 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30175509)
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Keywords | 接触リーマン多様体 / Kohn-Rossi Lalacian / 熱核 / CR-多様体 / Heisenberg群 / 漸近展開 |
Research Abstract |
当研究代表者は昨年度に続き,主に接触リーマン多様体上のKohn-Rossi Laplacianに付随する熱核のトレースの漸近展開係数の研究に取り組んだ。 CR-多様体では概複素構造の可積分性を仮定するのに対して,その仮定を課さない多様体を接触リーマン多様体と呼ぶ。その上のKohn-Rossi Laplacianに付随する熱核の漸近展開可能性を前年度示したが,今年度はそれのあらゆる微分が漸近展開可能であることの証明に成功した。最終的にそれら漸近展開係数を曲率係数や捻れ係数の普遍多項式として明示することが目標であるが,部分的にはその表示に成功した。現状での結果を以下いくつか列挙しておく。 (1)変形Heisenberg群上のKohn-Rossi Laplacianの研究:上記普遍多項式表示を得る手段は一般断熱展開理論であった。その理論に則って表示を導くには,その変形Heisenberg群上の熱核の研究が不可欠である。Heisenberg群は典型的な接触リーマン多様体,実はより強く強擬凸CR-多様体,であって詳細に研究されている。我々の目標に適するようそれを少々変形したものが当研究の研究対象であって,我々の問題はその上の熱核の原点に於ける熱核(のあらゆる微分)の漸近展開の係数達の普遍多項式表示の考察に帰着されることが明らかとなった。その変形Heisenberg群の持つ基本的性質について考察した。(2)漸近展開係数の具体的表示:第1,2係数の具体的表示を得た。第2係数のその結果は特に興味深いであろう。計算量が幾何級数的に増大するので手計算には限界があり,第2係数までの計算結果はMathematicaを使って再チェックしている。更なる係数計算にはそうしたソフトウエアの活用が不可欠であり,必要なプログラムの開発にほぼ成功している。
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Research Products
(1 results)