Research Abstract |
別項に記載の通り,専門雑誌における論文発表3件,学会等における口頭発表2件,計5件の研究発表を行った。研究者別にみると,研究代表者が論文発表1件,口頭発表2件,2名の研究分担者がそれぞれ論文発表1件ずつであった。また,口頭発表のうち1件は,日本・韓国・中国を中心とする国際会議であった。 研究代表者によって発表された論文は,仮想結び目に対して新しい多変数多項式不変量の構成を行ったものである。仮想結び目とは,幾何学的には一般の曲面上に実現された結び目のことであり,古典的な結び目をその特殊なクラスとして含む結び目のことである。構成には,本研究の課題名にもある“マグネティックグラフ"と呼ばれる結び目の概念を拡張したグラフが用いられており,このようなグラフが研究対象に応用されることに意義があることを示した結果となっている。また,この論文の結果を受けて,最近,KauffmanとDyeが本質的には同値な多項式不変量を構成・発表し,その不変量が実際に仮想結び目の分類に役立っことを示唆した。これらの結果を鑑みると,研究代表者の研究成果は,この分野において先駆的な役割を果たし,研究の発展に大いに貢献し,その重要性が示されたものと解釈できる。 研究分担者は,それぞれ専門の立場,即ち,微分トポロジーあるいはシンプレクティック位相幾何の立場から研究課題に関連した題材にアプローチし,前述のような成果をあげている。 以上述べたことにより,今年度の研究は十分に実績があったものと考える。
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