2010 Fiscal Year Annual Research Report
マグネティックグラフを用いた結び目の不変量に関する研究
Project/Area Number |
20540079
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
宮澤 康行 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60263761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 高弘 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60333241)
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Keywords | トポロジー / 結び目理論 |
Research Abstract |
別項に記載の通り,専門雑誌における論文発表1件,学会等における口頭発表2件,計3件の研究発表を行った。これらはいずれも研究代表者によってなされたものである。口頭発表のうち1件は日本・メキシコ合同の国際会議であった。なお,別項に記載がないが,研究代表者の論文「A distance for diagrams of a knot」がTopology and Its Applicationsに掲載受理(査読有),研究分担者の論文「Two applications of Coulomb wave functions in hydrodynamics」が京都大学数理解析研究所講究録「オイラー方程式の数理:力学と変分原理250年」に掲載受理(査読なし)されていることを付記する。 発表論文「A link invariant dominating the HOMFLY and the Kauffman polynomials」では,結び目の古典的で良く知られた5つの多項式不変量を統一する多項式不変量が存在するかという結び目理論における重要かつ興味深い問題に対し,肯定的に1つの解答を与えており,当該分野の発展に大いに貢献しているものと推察される。その統一多項式の構成手法は5つのうちの1つの多項式の存在証明に用いられた方法の流用であるが,考察の対象を結び目からマグネティックグラフと呼ばれる特殊なグラフに拡張するというアイデアをうまく利用することで,向きの付いた結び目の不変量と向きの付いていない結び目に対する不変量とを同じ立場で解釈することに成功し,問題解決に結びつけている。マグネティクグラフの考察意義と価値を具現化した顕著な例といえよう。 口頭発表においては,2つの題材に関する研究結果が示されている。1つは結び目の不変量であるHOMFLY多項式の実現問題,もう1つは結び目のダイアグラムの作る集合の構造から由来する結び目の不変量開発である。これらの研究はまだ序論の段階であり,今後の進展が期待される。 以上述べたことより,今年度の研究は十分な成果があったものと考えられる。
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