2010 Fiscal Year Annual Research Report
長時間リスク鋭感的ポートフォリオ最適化の非標準的設定への応用
Project/Area Number |
20540115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関根 順 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50314399)
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Keywords | リスク鋭感的ポートフォリオ最適化 / エルゴード型HJB方程式 / リスク回避的極限 / ロバスト極限 / 大偏差制御 / Wishart型確率過程 / 橋過程 / Kushner-Stratonovic方程式 |
Research Abstract |
1, エルゴード型HJB方程式から導出される最適戦略の候補の正当化について考察した。リスク回避度が大き過ぎると最適戦略の候補が最適でないことが証明できるが、その場合も近似的最適戦略は構成されることを示し、したがってエルゴード型HJB方程式の安定化解が常に最適成長率の値を与えることが示された。この研究は特殊な1次元モデルを用いて示されていた主張の一般化である。 2, 2次元線形ファクターモデルに関するリスク鋭感的ポートフォリオ最適化問題を取り扱い、特にリスク追求的な状況下でエルゴード型HJB方程式が安定化解を持つためのシャープな十分条件を得た。 3, 線形ファクターを持つリスク鋭感的ポートフォリオ最適化問題を取り扱い、リスク回避極限を考察した。金利過程が確率的なときは単純なリスク回避極限では問題が崩壊してしまう。そこでファクターノイズが微小パラメータεを持つと仮定し、リスク回避パラメータをεの-2乗に比例しているとしてεが0に行くときの漸近挙動を調べだ。結果として、(1)極限には線形・双線形型微分ゲームが現れること、(2)微分ゲームの鞍点を用いて漸近的に最適な戦略が構成できること、(3)この戦略は完全に安全な戦略より良いパフォーマンスを示すこと、などを示した。 4, Wishart型の正値対称行列に値をとる確率過程をファクターに持つ市場モデルを用いてリスク鋭感的ポートフォリオ最適化問題を取り扱った。危険資産価格過程のドリフト項を適当に選ぶことで対応するHJB方程式や極限方程式であるエルゴード型HJB方程式の明示的な解表示が得られることが示された。さらにそれらから計算されるフィードバック型の最適戦略の候補が最適であることの正当化を行った。 5, 情報過程に基づいた資産価格付けの枠組みの一般化を行った。情報過程は隠れた状態変数である確率変数を含むような橋過程で与えられ、この橋過程に関するフィルタリング方程式(Kushner-Stratonovich方程式)を用いて資産価格過程が定義される。この枠組みに沿って、今まで得られていた例を統一的に述べ直すとともに、更に、新たな明示的計算が可能な例をいくつか提示した。
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Research Products
(6 results)