2010 Fiscal Year Annual Research Report
高次元の力学系に伴うペロンフロベニウス作用素と疑似乱数に関する研究
Project/Area Number |
20540139
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
森 真 日本大学, 文理学部, 教授 (60092532)
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Keywords | エルゴード / 疑似乱数 / スペクトル半径 / 力学系 |
Research Abstract |
力学糸のエルゴード性は,対応するペロンフロベニウス作用素のスペクトルにより決定されることはよく知られている.1次元の力学系では,そのスペクトルは再生方程式を用いて一般的に決定することができる.このことを用いて,拡張的な力学系から,ファンデルコープト列と名付けた疑似乱数を構成するとともに,そのディスクレパンシーを決定すること方法を開発してきた.さらに.与えられた力学系が最善の疑似乱数を構成することが可能な力学系はマルコフ型の力学系であり,さらにエッセンシャルスペクトル半径とスペクトル半径の間に1以外のスペクトルが存在しないことが最善の疑似乱数を構築する条件であることを見いだした.高次元の場合には,対応するペロンフロベニウス作用素のスペクトルにおいてはエッセンシャルスペクトル半径が通常の力学系では望ましい値よりも大きくなり,一般論を用いて,ファンデルコープト列のディスクレパンシーの決定が行えないばかりでなく,良好な疑似乱数を作ることも困難になることがわかってきた.今回の研究では高次元の力学系に伴うペロンフロベニウス作用素のスペクトルを求める理論を構築するとともに,対応するペロンフロベニウス作用素のエッセンシャルスペクトルが最小値をとるような高次元の力学系がどのようなものであるかを研究するとともに,そのような力学系を用いて,ディスクレパンシーの小さな良好な疑似乱数を構成することが目標である.そこでまず2次元および3次元については,既約多項式を用いることで新しい力学系を構成し,それを用いることで非常によい疑似乱数を構成することに成功した.この方法は一般の次元へと拡張が可能と思われる.
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Research Products
(1 results)