2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540173
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松本 敏隆 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 助教 (20229561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 良和 中央大学, 理工学部, 教授 (80092691)
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Keywords | Lipschitz作用素半群 / 適切性 / 半線形方程式 / 近似理論 |
Research Abstract |
1. 連携研究者の田中直樹氏と、半線形放物型方程式に対する近似理論の研究を行い、チャーノフ型の積公式を得た。この結果の応用として複素ギンツブルグーランダウ方程式の解が、線形部分の微分作用素が生成する半群と非線形項が生成する半群の積の極限として表されることを示した。これは、線形項のみの偏微分方程式と、非線形項のみの常微分方程式を交互に短時間ずつ繰り返し解くことによって元の方程式の解が得られるという部分ステップ法が複素ギンツブルグーランダウ方程式に対して有効であることを意味し、数値シミュレーションの観点からも興味ある結果である。(論文準備中) 2. 研究分担者の小林良和氏と田中直樹氏は、非線形リプッツ作用素半群の生成定理を2次元ナヴィエーストークス方程式の弱解の一意存在に応用した。準縮小半群論で用いられているべニランの積分解に関連した新しい弱解を導入し、この新しい弱解が従来の弱解になっていること並びにリプシッツ作用素半群の生成定理を用いて新しい弱解の一意存在を示した。弱解の一意存在は既知の結果ではあるが、ここで用いられた方法は、流体の研究において従来用いられているものとは異なる新しい方法であり、流体の研究にリプシッツ作用素半群が有用なツールである可能性を示すものである。(論文発表済み) 3. 田中直樹氏と平滑化効果を持つ非線形半群の研究を進めている。ヒルベルト空間において劣微分作用素で表すことができる微分方程式は、平滑化効果を持つことが知られている。一般のバナッハ空間では、半線形放物型方程式を除いては対応する結果はないものと思われる。現在、劣微分作用素の結果を含み、昨年度の研究で示した複素ギンツブルグーランダウ方程式のLp空間での平滑化効果にも適用できるような形に定式化できている。非線形偏微分方程式の解の正則性の研究に役立つ意義深いものと思われる。
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