2008 Fiscal Year Annual Research Report
部分環の組に対する相対エントロピーと自己同型写像から生じる不変量
Project/Area Number |
20540209
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
長田 まりゑ Osaka Kyoiku University, 名誉教授 (80030378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡安 類 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70362746)
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Keywords | 作用素環 / 非可換力学系 / エルゴード変換 / 自己同型写像 / エントロピー / 群 / 接合積 / 状態 |
Research Abstract |
作用素環 M の二つの部分作用素環AとBの間の隔たりを測る量として、Connes-Stormerの相対工ントロピーH(A|B)の概念を少し修正することにより、研究代表者は、条件付相対工ントロピーh(A|B)の概念を導入した。修正を加えたのは、以下の理由による。 Mが非可換作用素環の最も基本的な代表例であるn次正方行列のなす環であるとき、可換作用素環の最も基本的な代表例である極大可換部分環の組{A、B}を考えると、Bは常に、Mのあるユニタリー作用素uにより引き起こされるMの自己同型写像θを用いてB=θ(A)という形式で、現される。このときH(A|θ(A))はθのエントロピー的情報を正しく、反映できないことの例をPetz達が挙げている。研究代表者の考えるθのエントロピー的情報とは何か。Sommers等が定義したuから生じるunisrochastic行列b(u)に対するエントロピーH(b(u))であると考える。 改めて定義した概念h(A|B)は、関係式h(A|θ(A))=H(b(u))をみたすことが、証明できたことにより、目的の第一段階を達したことになる。更に、h(A|B)が、取りうる値のうちでの最大値をとるためのA と Bの位置関係は、幾何的な感覚のもとでの、直交関係に相当することを示すことが、出来た。なお、これらの結果は、作用素環Mの上のトレースと呼ばれる関数に関するものであり、一般的な関数φに対しては、φに関する条件付相対エントロピーh_φ(A|B)を定義し、Sommers等による重みλ付きエントロピーH_λ(b(u))との妥当な関係式を、λと、φの固有値リストとを対応されることにより、示すことが出来た。 研究分担者の岡安類は、上記の関係式を、必ずしも有限次元ではない有限型 von Neumann 環Mを対象として、Mの射影作用素の族によって生成される二組の可換部分作用素環A と Bに対するh(A|B)と、射影作用素の値の分布状況に関する議論に発展させた結果を得た。
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Research Products
(3 results)