2009 Fiscal Year Annual Research Report
コンパススペクトロメータによるドレル・ヤン反応測定のための偏極標的の改造
Project/Area Number |
20540299
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
堀川 直顕 Chubu University, 工学部, 教授 (70022697)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 肇 中部大学, 工学部, 准教授 (20260044)
|
Keywords | 核子スピン / ドレル・ヤン / スピン偏極標的 / クォークスピン / COMPASS実験 |
Research Abstract |
核子スピンの起源の研究で、クォーク・グルーオンのもつ軌道角運動量成分を測定しなければならない段階に入ってきた。そのための実験の1つの代表的実験が偏極標的を使ったドレル・ヤン実験である。この偏極標的を使ったドレル・ヤン実験をCERNのCOMPASSスペクトロメータで実施するための準備に、堀川と鈴木は平成21年8月10日~8月24日の2週間CERNに出張した。日本グループが担当する標的ホルダーの改造に、昨年度、ドイツボッフム大学に製作を依頼した標的物質を収納するホルダーの点検をおこなった。 標的ホルダーは、材質がテフロン系のメッシュ(細い糸で網状に織ったもの)で、大きさは直径4cm、長さは150cm程の円筒形に縫い上げたものである。テフロンッシュでつくったこの円筒形の内部を同じくメッシュで3つの部屋に区切り、粒状標的を収納する60cmの部屋2つが30cm隔ててつくられている。2つの部屋の中に収納された標的は、スピンの向きを互いに逆向きに揃えるようにして、ミューオンビームとの衝突で衝突の際のスピンの「向き依存性」が直ちに測定にかかるようにつくられている。 堀川・鈴木の出張後、CERN滞在のグループメンバーとボッフム大学の共同研究者が、標的ホルダーに含まれる不純物水素原子の混入率をNMRで測定した。その結果、標的偏極度の測定にバックグランドとして悪い影響を与える水素原子の混入度は、日本の会社で製作したものよりスイスの会社で製作したテフロンメッシュの方が少ない事が判った。実際の実験には、スイス製メッシュでつくった標的ホルダーを使う事に決めた。 また、CERNに滞在中、堀川と鈴木は平成21年度実行したパイオンビームと水素核標的との衝突実験に参加し、割り当てられたCOMPASSスペクトロメータの運転時間40時間を無事遂行した。
|