2012 Fiscal Year Annual Research Report
3d遷移金属化合物系のバルク敏感硬X線光電子分光の理論
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20540324
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田口 宗孝 独立行政法人理化学研究所, 励起秩序研究チーム, 研究員 (10415218)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | 物性理論 / 光物性 / 計算物理 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
本研究は、当初の予定通りおおむね好調に推移し、研究業績も着実に発表されている。本年度中に本研究で達成した成果は、以下のとおりである。 (1)Tl2Ru2O7とHg2Ru2O7の金属絶縁体転移に伴う電子状態の変化の機構解明 (2)Fe3O4の電子状態の再検討の理論研究 特に、(1)に関しては、金属絶縁体転移を示すRuパイロクロア化合物Tl2Ru2O7とHg2Ru2O7の電子状態と金属絶縁体転移の機構解明のため硬X線光電子分光等を用いて詳細に解析した。その結果、内殻スペクトルにおいて劇的な温度変化を観測した。また、その理論解析を行い、これまで我々が開発してきた拡張クラスター模型によってよくスペクトルが説明できる事を見出した。(2)に関しては、混合原子価状態が金属絶縁体転移(Verwey転移)を引き起こす物質として古くから研究がされてきているマグネタイトFe3O4についての電子状態の再検討を行った。本研究では、Verwey転移の機構解明を目的として硬X線光電子分光等を用いて詳細に解析した。その結果、Fe2pの内殻スペクトルにおいて二つのピーク構造が観測され、さらに温度上昇とともに3-4 eVのエネルギースケールでスペクトル強度が移動していることを発見した。この実験結果に対して拡張クラスター模型による理論解析を行った結果、内殻スペクトルはAサイトのFe3+とBサイトのFe3+とFe2+の3成分からなるという従来の解釈では説明できず、新しい解釈が必要であることを見出した。本研究に関しては、現在論文を執筆中である。 上記の我々の成果等は、2013年6月にスウェーデン、ウプサラで開催されるHAXPESの国際会議にて発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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