2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540371
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小西 哲郎 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (30211238)
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Keywords | カオス / 非線形物理学 / 物性基礎論 / 数理物理 / エネルギー等分配則 / Boltzmann-Jeans理論 / 末端効果 / 構造形成 |
Research Abstract |
研究計画の3年目として、平成22年度は、交付申請書にも記載したように、多重振り子および類似の系である一般鎖状系(planar chain system,平面鎖系)、また、質点が硬いばねでつながれたspring-chain system及びそれらの派生系を題材として、拘束のある系およびそれに近い系におけるエネルギー等分配則についての研究を行った。主な結果は下記のとおりである。 ・質点間が大きいけれども有限のばね定数でつながれている鎖状系について研究を進め、緩和時間がBoltzmann-Jeans理論で評価でき、シミュレーションとよく一致することを示した論文を出版した。 ・また、この結果をより実在に近い系で議論するために、系が単なる1本鎖ではなく分岐を持つ場合、および、系の中で質点間にLennard-Jones型の相互作用を持つ場合についても同様の研究を進めた。その結果、分岐や内部相互作用があっても末端部で特異的に大きな運動エネルギーが見られることを確認した。 ・これらの結果は、振動と回転・変形のように、系内に緩和のタイムスケールが大きく違う運動が共存している場合に、高分子やタンパク質あるいはカーボンナノチューブなどで、エネルギー等分配則が達成される前に、末端に大きなエネルギーの集積が起きる可能性を示唆しており、これらの実在系での振る舞いや機能との関連に大きく興味が持たれる。以上の結果は数回にわたって学会及び研究会にてにて発表された。特に本年度は高分子関係などこれまでとは異なる分野の研究会へ積極的に出向いて発表をし、貴重なコメントをもらうことができて有益であった。 ・双曲型磁場中での荷電粒子の運動については準備的な計算を進めている。
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