2008 Fiscal Year Annual Research Report
「背弧のひらき方」の解明・背弧海底拡大軸での詳細な海洋リソスフェア形成過程の研究
Project/Area Number |
20540417
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
富士原 敏也 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 技術研究主任 (30359129)
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Keywords | 背弧海盆 / 海底拡大 / リソスフェア形成過程 / 玄武岩溶岩 / 重力異常 / 地磁気異常 / マリアナトラフ / しんかい6500 |
Research Abstract |
本研究はマリアナトラフ北緯17度付近を調査域として、背弧海底拡大軸での詳細な海洋リソスフェア形成過程の研究にアプローチしようとしている。当地域に局所的に、また一時的にマグマの供給増大をもたらした原因を研究する。当地域での岩石試料の化学組成と海底の年代(差)の情報が必要であるため、本年度は、潜水調査船「しんかい6500」とその母船「よこすか」を用いて、マリアナトラフ北緯17度付近の調査を行った。潜航調査の目的は、先行研究のサイドスキャンソナー調査から推定した溶岩流の形態、地形リニエーションの目視確認をすること、現場地質を把握した上で岩石試料を採取すること、そして海底(溶岩流)各地の年代(差)の情報を得るための測定を行うことである。トラフ内で海底が拡大している場所(拡大軸谷)で、3回の潜航調査を行った。海底目視観測から溶岩流形態を識別し、サイドスキャンソナー画像から推定した、高い溶岩噴出率が証拠付けられた。そして拡大軸谷内各地、計22地点で玄武岩溶岩試料を採取したことは、研究にとって大きな前進である。潜水船に装備したサブボトムプロファイラにより堆積層厚を観測した。また深海磁力計計測から溶岩の磁化が原因となる地磁気異常を観測した。これらの結果により3潜航範囲内での海底の年代差を考察するデータを得た。加えて「よこすか」により、潜航調査域を含む広域の海底地形、重力、地磁気異常の測定を行った。本調査航海で得られたデータ、試料に関して、次年度以降は、解析、分析を進めていく。
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