2008 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯対流圏における大規模有限振幅不安定モードの力学と,予測可能性への影響評価
Project/Area Number |
20540422
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
向川 均 Kyoto University, 防災研究所, 教授 (20261349)
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Keywords | 気象学 / 自然現象予測 / 予測可能性 / 対流圏 / 熱帯 / MJO / PNAパターン / BGM法 |
Research Abstract |
本研究では,アンサンブル予報での初期摂動作成法の一種であるBGM (Breeding of Growing Mode)法を数値予報モデルなど適用して,熱帯大気循環に伴う惑星規模の有限振幅の不安定モードを抽出し,その時空間構造や基本場依存性を明らかにすることや,この不安定モードが中高緯度大気循環に及ぼす影響を評価することを目的としている。 まず本年度は,気象庁1ヶ月予報モデルにBGM法を適用して,1996年4月1日から2006年2月28日までの期間について毎日の熱帯域初期摂動を作成した。また,Gram-Schmidtの直交化法を適用し,第2成長モードまで求めた。さらに得られた日々の初期摂動について,熱帯域の主要変動モードであるMadden-Julian Oscillation (MJO)との関係に着目し,Chikamoto, et al. (2007: C07)と同様の解析を行い,以下の結果を得た。1.全期間で平均した初期擾乱の成長率は0.1 (1/day)でC07と同様である。2.第1成長モードの成長率は,MJOの振幅に対してほぼ独立である。3. MJOに伴う対流活発域がインド洋や西太平洋に存在するときには成長率は有意に小さくなる。4.成長率は,北半球冬季と比べ北半球夏季に有意に大きくなる。5.初期擾乱の水平構造は,北半球冬季では東進する東西波数1成分が卓越する(C07と同様の結果)のに対し,北半球夏季には東進しない定在波成分が顕著になる。また,気象庁気候情報課で実施されたハインドキャストアンサンブル実験結果を用いて,MJOが中高緯度における主要変動モードであるPacific/North American (PNA)パターンの予測可能性に及ぼす影響について解析した。
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Research Products
(22 results)